コールセンターのASAとは?計算方法や目安・悪化する原因と改善策を解説

作成日:2026年9月14日 更新日:2026年9月14日

コールセンターのASA(平均応答時間)と、ボイスボットによる電話の待ち時間改善を表すイメージ

ASAは、コールセンターで顧客がオペレータにつながるまでの待ち時間を把握するためのKPIです。


本記事では、ASAの定義と計算方法、悪化する原因、改善施策を解説します。応対率やAHTなど、関連するKPIとの違いも確認しながら、自社に適した目標設定と改善方法を整理しましょう。 

コールセンターのASAとは?

ASAの計算方法と目標値の考え方

ASA(Average Speed of Answer/平均応答時間)とは、顧客からの着信が待ち呼キュー(システム内の待機状態)に入ってから、オペレータが応対するまでの平均時間を示す指標です。一般的には、オペレータが応対した通話を対象に算出し、応対前に顧客が電話を切った放棄呼は含みません。


ただし、IVRの案内時間や転送時間を含むかどうかなど、集計範囲は利用するシステムによって異なる場合があります。


ASAは次の式で算出されます。

ASA = 応対された通話のキュー内待ち時間の合計 ÷ 応対された通話件数 

この式では、一定期間内にオペレータが応対した通話について、キューに入ってから応対するまでの待ち時間を合計し、応対件数で割ります。たとえば、100件の通話に応対し、そのキュー内待ち時間の合計が2,000秒だった場合、ASAは「2,000秒÷100件=20秒」です。 


ASAの目標値に、すべてのコールセンターへ共通して適用できる絶対的な基準はありません。適切な水準は、問い合わせ内容、顧客層、営業時間、呼量、必要な応対品質、オペレータ体制などによって異なります。


国内コールセンターの実態を示す参考データとして、『コールセンター白書2025』では、回答88社の平均応対時間は24.4秒でした。ただし、これは調査対象企業の実績平均であり、推奨値や一律の目標値を示すものではありません。


そのため、24.4秒をそのまま目標とするのではなく、自社の過去実績や顧客の許容待ち時間を踏まえて目標値を設定することが重要です。その際は、ASAだけでなく、SL(サービスレベル)、放棄呼率、応対率、顧客満足度(CS)などもあわせて確認しましょう。


また、全体の平均値だけでは、一部の長時間待ちが見えにくい場合があります。時間帯別・曜日別のASAや待ち時間の分布も確認し、入電が集中する時間帯や長時間待ちが発生している条件を特定することで、より具体的な改善につなげられます。 


ASAは、顧客がオペレータにつながるまでの体験を把握するための指標です。継続的にモニタリングし、ほかのKPIとあわせて改善することで、待ち時間の短縮と応対品質の両立を目指します。 

※出典:リックテレコム『コールセンター白書2025』

ASAと混同しやすいコールセンターKPIとの違い

ASAは、顧客が電話をかけてから応対されるまでの平均時間を示す指標であり、主に「顧客がどれだけ待たされているか」を把握するために用いられます。

一方で、コールセンターにはASAと似た概念のKPIが複数存在し、それぞれが異なる視点から業務効率や顧客体験を測定しています。以下の表は、代表的なKPIとの違いを整理したものです。

KPI名 意味 主に確認できること

ASA(Average Speed of Answer) 

応対済み通話がキューに入ってからオペレータが応対するまでの平均時間

有人対応につながるまでの待ち時間

AHT(Average Handling Time) 

1件あたりの平均処理時間。一般に通話・保留・後処理に要した時間を含む 

1件の問い合わせ処理にかかる時間や業務負荷

ACW(After Call Work) 

通話終了後に行う記録・入力などの後処理、およびその所要時間 

通話後の事務作業の効率

SL(Service Level) 

「20秒以内」など、設定した時間内に応対できた通話の割合 

目標時間内に応対できているか

FCR(First Call Resolution) 

追加の問い合わせや折り返しを必要とせず、初回の連絡で解決した割合

目標時間内に応対できているか

放棄呼率 

オペレータが応対する前に顧客が電話を切った通話の割合

問い合わせの初回解決状況

ASAは「顧客がつながるまでのスピード」を測る指標であり、他のKPIが「応対の質」や「業務効率」を示すのに対し、顧客体験の入口を評価する役割を持っています。これらを組み合わせて分析することで、センター全体のパフォーマンスをより正確に把握できます。 


KPIについて詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてください。

参考:コールセンターで重要なKPI一覧!KGIから逆算し目標達成するコツを紹介

ASAが悪化する要因

ASA(平均応対時間)は、呼量の変動や人員不足、システム遅延など、さまざまな要因によって悪化することがあります。


ここでは、ASAを悪化させる主な要因について以下の4つの観点から整理します。

  • 人(オペレータ・管理者)に関する要因 
  • プロセス・運用(業務フロー)に関する要因
  • システム・インフラに関する要因 
  • 顧客・外部環境に関する要因 

人(オペレータ・管理者)に関する要因

人員構成やスキルレベルの偏りは、ASA悪化の大きな要因となります。 離職率が高い職場では、習熟度の低下やノウハウの流出が発生し、応対スピードが安定しにくくなります。

 

管理者(SV)へのエスカレーションに時間がかかると、1件あたりの応対時間が長くなります。その結果、ほかの着信に対応できるオペレータが不足し、待ち呼の増加を通じてASAが悪化する可能性があります。  さらに、突発的な欠勤や出勤率の低下により、当日の実運用人数が減少すると、呼量に対して人員が不足しASAが悪化します。 


このように、人に関する要因は「経験」「支援」「稼働率」の3点が密接に関係しています。 

プロセス・運用(業務フロー)に関する要因

業務フローの設計や運用ルールが不十分な場合も、ASAを押し上げる要因となります。


呼量予測の精度が低いと、ピーク時間帯に人員が偏り、待ち時間が増加します。FAQやナレッジベースの検索性が低いと、応対後に情報を探す時間が長くなり、AHTが増加します。その結果、次の着信に対応できるオペレータが不足し、待ち呼の増加を通じてASAが間接的に悪化する可能性があります。 


また、チャットやWebで解決できる内容が電話に流入するなど、マルチチャネル連携が不十分な場合もASA悪化につながります。 


運用設計の見直しと情報アクセス性の改善が、プロセス面での改善ポイントです。

システム・インフラに関する要因

システムの設計やインフラ環境もASAに直接影響します。


IVR(自動音声応対)の回線設計が不適切だと、顧客が正しい部署へ振り分けられず転送が発生し、応対までの時間が延びます。


PBXやCTI、回線などの障害によって着信処理やルーティングに遅延が生じると、キュー内の待ち時間が延び、ASAが悪化する場合があります。また、CRMの画面遷移が多い、入力が重複するといった問題はAHTやACWを長期化させ、応対可能なオペレータが減ることで、ASAの間接的な悪化につながります。 


システム面では、レスポンス速度と操作性の改善がASA短縮の鍵となります。

顧客・外部環境に関する要因

顧客側の要因や外部環境の変化もASAに影響します。 問い合わせ内容が複雑化・高度化すると、AHTが長くなり、結果的にASAが悪化します。 


障害発生やSNSでの炎上、大規模なニュース報道など、突発的な外部要因によって呼量が急増するケースもあります。 こうした外的要因は予測が難しいため、柔軟なシフト調整や臨時応対体制の構築が求められます。 


入電の集中によって発生するあふれ呼の原因や対策については、以下の記事もご覧ください。

参考:あふれ呼とは?原因・影響・今すぐできる対策をわかりやすく解説

ASAを改善する具体的な施策

ASAを改善するには、単に人員を増やすだけでなく、業務設計・システム連携・AI活用など複数の視点から最適化を図ることが重要です。 ここでは、現場で実践できる具体的な施策を4つの観点から整理します。

  • 教育強化・スクリプト整備
  • CTI・IVR・CRM連携
  • ピーク分析とシフト最適化
  • ボイスボットによる一次受付・定型業務の自動化

教育強化・スクリプト整備

オペレータのスキル向上が応対速度と品質を左右します。

FAQ整備やスクリプト統一により応対のばらつきを減らすことも効果的です。

よくある問い合わせ(配送日時変更・請求書再発行など)をテンプレート化しておけば、誰が応対しても一定のスピードと品質を維持できます。

教育面では、ロールプレイ研修や録音レビューを活用し、応対スキルを継続的に強化することが重要です。

CTI・IVR・CRM連携

CTI(Computer Telephony Integration)やIVR(自動音声応対)を活用し、問い合わせ内容やオペレータのスキルに応じて適切な窓口へ着信を振り分けることで、不要な転送や待ち時間の削減が期待できます。ただし、効果は呼量や人員配置、ルーティング設計などによって異なります。

また、CTIとCRMを連携し、着信時に顧客情報や過去の応対履歴をオペレータの画面に表示できるようにすることで、本人確認や情報検索にかかる時間を削減できます。さらに、応対後の入力作業を効率化できれば、後処理時間(ACW:After Call Work)が短くなり、AHT(平均処理時間)の短縮にもつながります。

ACWを短縮すると、オペレータが通話終了後から次の着信に対応可能になるまでの時間を減らせます。反対に、ACWが長いと次の着信に対応できるまでの間隔が広がり、待ち呼が増えやすくなります。そのため、ACWを含む1件あたりの応対時間を短縮することは、ASAの改善や顧客の待ち時間削減にもつながります。

CTIやIVRの仕組み、ボイスボットとの連携・違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

参考:CTIとは?コールセンター業務効率化やボイスボット連携を解説

参考:IVRとは?仕組み・種類・ボイスボットとの違い・導入ポイントを解説

ピーク分析とシフト最適化

オペレータのスキル向上が応対速度と品質を左右します。FAQ整備やスクリプト統一により応対のばらつきを減らすことも効果的です。

例えば、よくある問い合わせ(配送日時変更・請求書再発行など)をテンプレート化しておけば、誰が応対しても一定のスピードと品質を維持できます。

教育面では、ロールプレイ研修や録音レビューを活用し、応対スキルを継続的に強化することが重要です。

ボイスボットによる一次受付・定型業務の自動化

ボイスボットを活用すると、用件の聞き取りや担当窓口への振り分けといった一次受付に加え、配送日の変更や注文受付など、定型化しやすい業務を自動化できます。


ボイスボットで応対できる着信を有人窓口から切り分けることで、有人対応が必要な着信の集中を抑えられます。


その結果、オペレータは人の判断や詳しい説明が必要な問い合わせに集中しやすくなり、有人窓口の待ち呼やASAの改善が期待できます。ただし、すべての問い合わせを自動化するのではなく、対象業務やリスク、顧客体験を踏まえ、ボイスボットで完結する範囲と有人転送する条件を設計することが重要です。 


また、予約・受注管理システムなどと連携することで、顧客の希望する配送日を聞き取り、変更可能な候補日を案内したうえで、変更受付まで自動化できる場合があります。実際に自動化できる範囲は、連携先システムの仕様や本人確認方法、業務フローによって異なります。


ボイスボットの仕組みや種類、導入時の選定ポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。

参考:ボイスボットとは? 仕組み・種類・選び方を体系的に解説 

ASAを改善する効果と運用上の注意点

ASA(平均応対時間)の改善は、コールセンター運営において最も効果が実感しやすい施策のひとつです。


ASAを適切に改善して待ち時間を短縮することは、顧客の負担軽減や放棄呼の抑制につながります。ただし、ASAが短いだけで問い合わせの解決品質やセンターの生産性が高いとは限りません。応対率、AHT、FCR、応対品質、顧客満足度などもあわせて確認することが重要です。  


ただし、スピードを重視しすぎると応対品質が低下するリスクもあるため、「速さ」と「正確さ」のバランス設計が欠かせません。

ASA改善による主な効果

ASA(平均応対時間)の改善は、顧客・業務・オペレータの3つの側面で効果をもたらします。


顧客側では、待ち時間の短縮によって負担が軽減され、応対前に電話を切る放棄呼の抑制が期待できます。ただし、ASAが短いだけで顧客満足度が向上するとは限らないため、放棄呼率やFCR、顧客満足度などもあわせて確認することが重要です。 


放棄呼率の計算方法や発生原因、改善策については、以下の記事で詳しく解説しています。

参考:放棄呼率とは?コールセンターで改善すべき理由と対策を解説 


次に業務側では、呼量に応じた人員配置や業務フローの見直しにより、待ち呼を抑えながら、必要な応対件数を確保しやすくなります。稼働率については、単に高めるのではなく、応対品質やオペレータの負荷を考慮して適正な水準に保つことが重要です。 ACW(後処理時間)の削減やAIによる自動化が進むことで、業務フローが最適化され、運営全体の生産性が高まります。


そしてオペレータ側では、早く電話に応対できる、待ち呼が減ることによって、入電に追われるストレスを軽減できます。さらに応対に余裕が出ることでより付加価値の高い業務に集中できるようになります。 これにより、個々の生産性が向上し、働きやすい環境づくりにも寄与します。


このような施策を継続し、ASAだけでなく、応対率やAHT、FCR、顧客満足度などをあわせて確認することで、応対の速さと業務効率、応対品質のバランスが取れた運営を目指せます。

ASAだけを重視する際の注意点

ASAの短縮だけを優先し、必要な教育や後処理、オペレータの休憩などを過度に削減すると、応対品質や従業員負荷に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ASAが短くても、問い合わせが解決しなければ良好な顧客体験とはいえません。


そのため、ASAはAHT、FCR、顧客満足度、応対品質評価、放棄呼率などとあわせて確認し、応対の速さと解決品質の両面から改善することが重要です。 


たとえば、オペレータが「早く応対すること」を優先しすぎると、内容確認が不十分なまま回答してしまい、再問い合わせやクレームにつながることがあります。

このような事態を防ぐためには、AHT(平均処理時間)やCS(顧客満足度)など他指標とのバランス設計が不可欠です。ASAを短縮しながらも、応対品質を維持するためには、FAQやスクリプトの整備による回答精度の統一や、CRM連携による情報参照の迅速化、定期的な品質チェックとフィードバック体制の構築が必要です。


ASA改善は「速さ」だけでなく「正確さ」「丁寧さ」を両立させることで、顧客体験の質を最大化できます。 

ASA(平均応対時間)改善ならAIボイスボット「commubo」

コールセンターのASA(平均応対時間)を改善するためには、一時的な人員増員に頼るのではなく、仕組みを活用して電話応対を効率化・自動化することが重要です。  


自然会話AIボイスボット「commubo(コミュボ)」は、繁忙期の一次受付や配送日変更、注文受付など、定型化しやすい電話業務の自動化に対応しています。業務内容や既存システムに応じて受付フローを設計することで、あふれ呼や有人窓口への入電集中を抑え、オペレータの応対負荷を軽減できます。


また、ノーコードで会話シナリオを作成・編集できるため、案内内容や受付フローを運用担当者が継続的に改善できます。ボイスボットで対応する業務と有人対応が必要な業務を適切に分けることで、有人窓口のASAや応対率の改善が期待できます。 

ASA改善や電話応対業務の効率化をご検討の際は、ぜひソフトフロントジャパンまでお気軽にお問い合わせください。

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