コールセンターのAHT削減策!目安時間とACW最適化方法・AIツール紹介

作成日:2026年2月5日 更新日:2026年2月5日

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「AHTという言葉を聞くが、正確な定義や計算式は曖昧…」 

「目標値をどう設定し、改善すればいいのか分からない…」


そんな疑問を抱えていませんか?実は、AHTを正しく理解することは、センターの生産性を高める第一歩です。


ここでは、言葉の意味や業界平均、CSを維持して短縮するコツを解説します。この記事を読めば、基礎知識から実践的な運営のヒントまで体系的に学べます。


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コールセンターで重要なKPI一覧!KGIから逆算し目標達成するコツを紹介

コールセンターのAHT(平均処理時間)とは?計算式と関連用語

AHTはコールセンターの生産性を測る上で欠かせない重要な指標です。この数値を適切に管理することは、コストの最適化だけでなく、顧客満足度を維持したまま運営効率を高めるための第一歩となります。ここでは定義や計算式、関連用語との関係性を解説します。

AHTの定義と計算式

AHT(Average Handling Time)とは、オペレータが1件の問い合わせ対応を開始してから、通話終了後の事務処理を完了するまでに要した時間の平均値を指す指標で、日本語では「平均処理時間」と言います。


AHTの計算式

AHT = 平均通話時間(ATT)+平均保留時間+平均後処理時間(ACW)

なお、ATT(平均通話時間)の定義に保留時間を含めるかどうかはセンターの規定によるため、算出の際は自社のルールを必ず確認しておきましょう。


目標値の目安については、業務内容や商材によって大きく異なります。一般的には「6分(360秒)前後」が目標とされがちですが、実態は必ずしもそうではありません。


コールセンター白書2025等のデータでは、通話約7分と後処理約5分の合計で、約12分という実績結果も出ているからです。特にテクニカルサポートなど、専門知識を要する窓口では長くなる傾向にあります。


したがって、他社の平均値はあくまで参考程度に留めるべきです。現場の実態と乖離した無理な短縮目標は、応対品質の低下を招きかねません。まずは自社の現状を正確に把握し、適切な数値を設定することが重要です。

ATT・ACW・CPHとの違いとは?

AHT(平均後処理時間)を適正化するには、関連指標との違いや関係性を正しく理解することが不可欠です。これらは役割が異なり、相互に影響し合っているからです。主な指標の定義と関係性を表にまとめました。

指標 名称 AHTとの関係

ATT

 平均通話時間(Average Talk Time)

 AHTの構成要素(通話部分)

ACW

 平均後処理時間(After Call Work)

 AHTの構成要素(事務部分)

CPH

 時間別対応件数(Call Per Hour)

 AHTと逆相関(生産性)

表の通り、ATTとACWを足した合計がAHTにあたります。


CPHは「1時間あたり何件対応できたか」という生産性を示す指標です。

AHTが「1件にかかる時間」であるのに対し、CPHは「処理能力」を表す点で異なります。

ただし、CPHを上げるためにATHを短くするという風に考えると、対応品質の低下にもつながるため、件数ばかりに注目しないようにしましょう。


数値管理の際は、どこにボトルネックがあるのかを分解して分析しましょう。


ACWについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

コールセンターのACW(平均後処理時間)の最適化方法!AI活用で短縮するコツ

コールセンターのAHTが長くなってしまう主な原因

AHT(平均処理時間)が伸びる要因は一つではありません。オペレータ個人のスキルだけでなく、業務フローや使用するシステムなど、複数の要素が複雑に絡み合っていることが多いからです。ここでは主な原因を3つの視点から解説します。

  • 人に起因する問題
  • 業務の進め方に起因する問題
  • ツールやシステムに起因する問題

人に起因する問題

人に起因する問題として考えられるのは以下のようなものがあります。

  • 商品知識や業務フローへの理解不足 
  • ヒアリング能力や会話コントロール技術の欠如 
  • タイピングスキルの低さによる入力の遅れ
  • 離職率の高さによる組織的な経験値不足

知識やスキルの不足は、回答までの時間や後処理(ACW)が長引く直接的な原因となります。特に会話の主導権を握れないと、不要な雑談で通話が伸びてしまいがちです。また、離職率が高くベテランが育たない環境では、数値が高止まりしやすくなります。改善には、座学に加えOJTやロープレなど実践的な教育体制の強化が不可欠です。

業務の進め方に起因する問題

業務の進め方に起因する問題として考えられるのは、以下のようなものがあります。

  • 判断基準の曖昧さによる保留やエスカレーションの多発 
  • マニュアルやトークスクリプトの整備不足(情報が古い・見にくい)
  •  後処理手順の煩雑さや二度手間(入力項目過多・手書き清書など)

業務プロセスそのものに時間を浪費する欠陥があるケースです。ルールが曖昧だと確認作業で保留が増え、資料が使いにくいと情報探索に時間を要します。また、入力項目の多さや手書きからの転記といった非効率な手順は、ACWをいたずらに引き伸ばします。


これらは個人の努力では解消できないため、FAQ刷新や承認フローの見直しなど、業務設計レベルでの改善が必要です。

ツールやシステムに起因する問題

ツールやシステムに起因する問題として考えられるのは、以下のようなものがあります。

  • CRMやCTIの動作遅延による待ち時間の累積 
  • 複数システムの並行利用による画面切り替えの手間
  • ナレッジベースの検索精度不足による情報探索の遅れ 
  • システム未連携による転記作業の発生とACWの増加

システム環境がオペレータの足を引っ張っているケースです。動作の重さや画面遷移の多さは、わずかな遅延でも積み重なれば大きなロスとなります。また、ナレッジがすぐにヒットしないことや、同じ情報を複数箇所に入力する転記作業は、スムーズな応対を阻害しACWを引き伸ばす要因です。


情報の検索性や入力の簡便さを最優先に、ツール環境を最適化することが重要です。

AHT短縮で得られる効果と注意点

AHT(平均後処理時間)の適正化はセンター運営に多くのメリットをもたらします。しかし、単に数値を追い求めるだけでは思わぬ落とし穴にはまりかねません。本章では、改善によって得られる具体的な成果と、行き過ぎた短縮が招くリスクについて解説します。

AHT短縮で期待できる主な効果

AHTを適正化することで、センター運営には多角的なメリットが生まれます。具体的に期待できる主な効果は以下の通りです。

効果 詳細

生産性と応答率の向上

1件の処理時間が短縮されれば、同一の人員体制でも対応可能なコール数が増加します。結果、顧客を待たせる時間が減り、つながりやすさやサービスレベルの改善に直結します。


運営コストの適正化

時間あたりの処理能力が上がれば、より少ない人数で業務を回すことが可能です。人件費の抑制や既存リソースの効率的な活用を実現し、経営効率を高めます。


機会損失の防止

電話がつながりやすくなることで放棄呼(あきらめ電話)が減少し、受注機会の損失を未然に防げます。特に注文受付などの窓口では、応答率の改善が売上アップに貢献するケースも少なくありません。


人材育成と定着率への還元

業務に余裕が生まれれば、空いた時間を研修やフィードバックに充てられます。稼働負荷を減らしてオペレータの疲弊を防ぐことで、スキルアップと離職率低下の両立が期待できます。


このようにAHT改善は単なる時短施策ではありません。コスト、品質、売上、そして人材定着といった、組織全体の質と効率を底上げする複合的な成果をもたらします。

短縮しすぎによるリスク

一方で、AHTの短縮を急ぐあまり、早さだけを追求することは極めて危険です。行き過ぎた効率化が招く主なリスクは以下の通りです。

リスク 詳細

顧客満足度の低下とクレーム

時間を気にして早口になったり、話を遮ったりすれば、顧客の心証は悪化します。「対応が雑だ」といったクレームを誘発し、信頼を損なう結果になりかねません。


一次解決率の悪化と再コール

十分なヒアリングなしに通話を切り上げると、疑問が解消されず再度問い合わせが入ります。見かけのAHTが減っても総コール数が増える「バッドコール」が発生し、全体の負荷はむしろ増大します。


後処理の質低下と二次トラブル

後処理時間(ACW)を無理に削ると、履歴の入力内容が不十分になりがちです。後で確認した際に経緯が分からず、二次対応でミスやトラブルを引き起こす原因となります。


現場の疲弊と離職リスク

数字への過度な重圧は現場の空気を悪化させます。プレッシャーによるメンタル不調や休職を招き、最悪の場合は離職の連鎖による組織崩壊につながる恐れさえあります。


大切なのは時間短縮そのものではなく、品質を維持した上での効率化です。数値目標が独り歩きしないよう、CSとのバランスを常に意識する必要があります

応対品質を維持してコールセンターのAHTを短縮する具体的な改善策

AHT(平均後処理時間)改善の本質は、品質を犠牲にせず業務の無駄を削ぐことにあります。ここでは以下の3つの構造的な切り口から、現場負荷を抑えつつ効率化を実現する具体的な手法を紹介します。

  • 人に関する改善策
  • 業務の進め方に関する改善策
  • ツールやシステムに関する改善策

人に関する改善策

人に関する改善策として考えられるものは主に以下の4つです。

研修内容を標準化し、対応レベルを均一化する

AHT短縮には、まず個々のスキルを底上げし、誰が対応しても同じ品質を保つことが最優先です。知識にばらつきがあると、特定のスタッフだけ通話が長引く非効率が生じます。迷いなく回答できる環境を整えましょう。具体的には、研修内容を標準化して頻出パターンの対応レベルを揃えてください。

FAQ読み上げや想定問答で回答探索速度を速める

FAQの読み上げや想定問答を反復し、回答を探す時間を物理的に減らす訓練も有効です。迷いなく必要な情報にたどり着けるよう習熟度を高めることで、結果として1件あたりの対応時間の短縮につながります。

メンター制度等で初期三か月の定着を支援する

新人の定着支援も欠かせません。初めの数ヶ月はメンター制度などで手厚くサポートし、早期離脱を防ぐ体制を整えるべきです。人が育ち定着すれば、センター全体の処理能力は自然と安定していきます。

AHT偏重を避け、品質指標も併せて評価する

評価指標も見直しが必要です。数値だけを追うと品質がおろそかになるため、一次解決率なども併せて管理し、バランスの取れた評価を行ってください。これらが持続的な改善につながります。

業務の進め方に関する改善策

業務プロセスを見直す際は、顧客を待たせる要因を徹底的に排除する視点が必要です。保留や転送、後処理といった作業の無駄を省くことで、会話の質を落とさずに時間を短縮できます。主な改善策は以下の4点です。

保留理由を分類し、不要な確認作業を減らす

まず取り組むべきは、保留理由の分析です。不要な確認作業を特定し、現場で判断できる範囲を広げましょう。承認フローが簡素化されれば、保留時間は確実に減少します。

エスカレーション条件を緩和し現場判断を促す

現場での判断を促すよう、エスカレーション条件を緩和しましょう。上席への確認や承認ステップを減らすことで、オペレータが自立してスムーズに対応を完結できる体制を整えます。

後処理テンプレートを統一し入力を簡素化する

後処理時間(ACW)の削減には、入力作業の簡素化が効果を発揮します。テンプレートを統一し、選択式の項目を増やすなどして記述量を最小限に抑えましょう。思考せずに作業できる仕組みがあれば、負担は大幅に軽減されます。

業務ルールを定期更新し判断の迷いを防ぐ

問い合わせ内容の変化に合わせ、業務ルールを定期的に更新することも混乱防止に不可欠です。ルールを常に最新の状態に保つことで、現場での判断の迷いを防ぎ、円滑な業務遂行を支えます。

ツールやシステムに関する改善策

ツールやシステム面の改善は、オペレータが応対そのものに集中できる環境を作るために欠かせません。情報の検索や入力にかかる手間を技術的に削減できれば、精神的な余裕が生まれ、スムーズな案内が可能になるからです。使い勝手の悪さは最大のボトルネックとなります。主な改善策は以下の4点です。

CRMの画面遷移を減らし一画面で完結させる

具体的には、CRM(顧客管理システム)の画面遷移を見直すことから始めましょう。必要な情報が一画面で完結するように改修すれば、クリック数や待機時間が減り、会話のリズムが途切れません。

ナレッジのタグ整理等で検索性を高める

ナレッジベースの検索性を高めることも重要です。タグ整理や文章の平易化を行い、誰でも即座に正解へ辿り着ける状態を整備しましょう。情報の探しやすさは、そのまま回答速度の向上に直結します。

IVR改善で入口を最適化する

問い合わせの入り口から電話振分けまでを最適化する視点も有効です。IVRを改善し、有人対応が必要な案件を絞り込みましょう。適切な窓口へ誘導することで、転送の手間を減らすことができます。


IVRについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

IVRとは?電話自動振分けのメリットとコールセンター業務効率化事例

AIボイスボット活用で事前の情報収集を自動化する

AIボイスボットを活用して、一次受付として事前に用件を聞き取っておく手法も効果的です。通話開始前に必要な情報を収集できていれば、オペレータが対応を開始した後のヒアリング時間を大幅に短縮できます。


ボイスボットでヒアリングした内容は文字起こしがされるとともに、CTI・CRMなどの外部システムと連携をすることで自動転記することも可能です。


AIボイスボットについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

ボイスボットとは?どこまで自動化できる?仕組み・メリット・活用事例を紹介

AIボイスボット「commubo(コミュボ)」でACW自動化とCS維持を両立しコールセンターのAHTを改善

コールセンターのAHT改善は、単なる時短ではなく、人・業務・システムを包括的に見直すことで実現します。本記事で解説した正しい指標管理と現場負荷を減らす施策を実践すれば、顧客満足度を維持したまま、コスト削減と生産性向上、さらには人材定着という大きな成果を得ることが可能です。


その実現手段として、AIボイスボット「commubo(コミュボ)」は、一次受付として活用することでのオペレータのATT削減、また文字起こしやシステム連携による応対履歴転記によるACW削減など、効率化を強力に支援します。AHT改善やcommuboに関するお悩みは、ソフトフロントジャパンへご相談ください。

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