AIでコールセンターの業務効率化を実現!注目の活用法と導入メリットを解説

作成日:2025年10月1日 更新日:2025年10月1日

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「コールセンターにAIを導入すると、どんな効果があるの?」

「具体的にどの業務が効率化できるの?」


近年、コールセンター業務にAIを活用する企業が増えています。慢性的な人手不足やお問合せの多様化が重なり、待ち時間・放棄呼が増加している解決策としての注目が高まっているからです。AIによる音声認識や自動応答、要約などの技術は、顧客対応の品質を高めつつ業務効率を大きく改善できる可能性を秘めています。


この記事では、コールセンターにおけるAI活用の方法や事例、導入メリット・デメリット、さらに成功させるためのポイントになるベンダ選定まで具体的に解説します

コールセンターの自動化について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

コールセンター自動化ツールで人手不足解消!業務改善の4つの具体事例

AIで効率化できるコールセンター業務

コールセンターの業務は大きく「インバウンド(受信)」と「アウトバウンド(発信)」に分けられます。従来はオペレータの人手に依存していましたが、AIを活用することで、作業の自動化や効率化が可能になり、対応品質の向上も期待できます。

  • インバウンド業務
  • アウトバウンド業務
  • 上記業務に伴うオペレータ支援

インバウンド業務

業務内容 改善内容

本人確認・認証の自動化

声認識と顧客データベース連携により、顧客番号や予約番号を自動確認。オペレータ接続前に事務作業を削減。


予約受付・手続き処理

シナリオベースで予約の変更やキャンセルを自動処理。AIが会話の音声を分析して応対して手続きが完結する。


FAQ対応の自動化

AIが問い合わせ内容を理解し、FAQから回答を自動提示。


アウトバウンド業務

業務内容 改善内容

督促・リマインドコールの自動化

オートコール機能と連携し、支払い督促や予約リマインドを自動発信。応答があればAIが一次対応を行い、必要に応じてオペレータへ転送。


アンケート調査の自動化

AIが音声アンケートを自動実施し、回答をテキスト化。集計の自動化により分析工数を大幅削減。


上記業務に伴うオペレータ支援

業務内容 改善内容

後処理作業の自動化

通話後の記録作成や要約をAIが自動化し、担当者の作業負荷を軽減。重要情報を抽出して簡潔なまとめを作成することで、効率的な業務遂行を支援。


回答サジェスト

社内のマニュアルや応対履歴を学習し、相手の質問に合わせて適切な回答案を提案。オペレータのスキルに左右されず回答品質を向上。


問い合わせの振り分けの最適化

AIが問い合わせ内容を解析し、担当者の専門性やスキルに応じて最適な担当者に接続。顧客の待ち時間を短縮し、対応品質を維持しながら解決までの時間を削減。


サポート品質の分析と改善

AIが通話内容や履歴を分析し、担当者の対応状況を評価。顧客の傾向や問題のパターンを明らかにすることで、データに基づく改善やトレーニング計画の立案が可能。


感情分析


AIが通話内容をリアルタイムに解析し、顧客の感情(不満・不安)を検出。オペレータ支援やクレーム抑止に活用可能。


コールセンターのAI活用事例

コールセンターにおけるAI活用は単なるトレンドではなく、実際に業務効率や顧客満足度の向上に貢献している事例が増えています。特に注文受付や督促・リマインド業務はオペレータの負担が大きく、多くの企業がAI導入を検討する代表的な業務です

事例:通販事業における注文受付業務の効率化

AIを導入した業務 注文受付業務

課題

通販事業などで、注文の入電が営業時間前後に集中し、多くの「呼損」が発生する課題。

対策としてIVRを使用し折り返し対応としたが、プッシュ操作での対応ではあふれ呼のうちの20%しか折り返し対応に承諾いただけない状態だった。


成果

相手の音声を分析して自然な会話対応ができるAIボイスボットを導入したことで、IVRの機械的な音声とプッシュ操作を嫌厭していたお客さまに折り返し対応を受け入れてもらえるようになり、あふれ呼の80%も折り返し対応に承認いただけるようになった。


事例:金融事業における督促架電の自動化

AIを導入した業務 督促業務

課題

ローンの返済が滞っているお客様への督促業務で、日々発生する架電作業がオペレータ負荷に


成果

架電業務自動化できるAIボイスボットを導入で、架電リストを元に一斉に自動で連続発信し、本人確認の上で入金可能な時期を自動確認できるようになった。

入金ができない場合などのみにオペレータが対応するので、有人による架電作業が不要となり、業務効率が飛躍的に改善した。


参考:導入事例|督促業務|commubo


コールセンターにおけるAI導入事例について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

成功事例から学ぶ!業務効率化を実現したボイスボットの導入事例9選

コールセンターにAIを導入するメリットとデメリット

AIを導入することで、コールセンター業務は大きく効率化されます。しかし、メリットだけでなく注意点も理解しておくことが重要です。ここでは、具体的な数値や事例を交えて整理します。

メリット

  • 業務効率化と人件費削減

AIによる自動応答を導入することで、繁閑の差にかかわらず人員を調整する必要がなく、短期間で対応を完了させることができます。金融業界では、導入により人件費を70%削減できたケースもあります。

  • 24時間対応の実現

AIが24時間自動で応答することで、繁忙期の電話の混雑を解消できます。また、一次受付として必要な情報をあらかじめAIが聴取することで、オペレータの業務も効率化され、例えば保険業界では業務完了率を約90%に維持できるようになったケースもあります。

  • センター生産性の改善

AIが定型的な作業やルーティン業務を担うことで、オペレータは時間的・精神的な余裕を持てます。その結果、人が対応すべき複雑な業務や業務改善、アップセル活動などに集中できるようになり、例えば小売業ではコスト中心の部門を利益を生み出す部門へと変革することも可能です。

デメリット

  • 初期コスト・設計工数

AI導入では、シナリオ設計や音声認識精度の調整など、初期の準備にコストと時間がかかります。しかし、この投資は一度整備すれば長期的な効率化やコスト削減につながるため、将来的な効果を見据えて検討することが重要です。

  • 誤認識リスク

業界特有の固有名詞や専門用語では誤認識が発生する可能性があります。とはいえ、学習データを継続的に追加・改善することで精度は高まり、長期的には人の対応を補完できる安定した運用が可能になります。

  • 顧客体験の低下リスク

AIが直接顧客応対する場合、AIのみでは対応できないケースで、顧客が不満やストレスを感じる場合があります。

人によるフォロー体制を組み合わせることで、効率化と顧客満足度の両立が可能です。

例えば、AIは一次対応に集中させ、人が価値を発揮できる領域へリソースを割けると考えることが重要となります。

  • 継続的なチューニング必要性

FAQ更新や学習データの追加といった継続的なメンテナンスが必要です。

手間はかかりますが、この運用改善プロセスを組み込むことでAIは常に最新の顧客ニーズに適応し、むしろ人材教育コストを減らす効果も期待できます。

  • 対応範囲の限界

AIはすべての問い合わせに対応できるわけではなく、人とAIのハイブリッド運用が前提となります。

一次対応や定型業務はAIに任せる運用にすることで、人材はより高度な案件に集中できるようになり、組織全体のサービス品質向上につながります。

コールセンターの業務効率化に役立つAIツールの種類

コールセンターの現場ではAIと一口に言っても、その役割や機能はさまざまです。単なる応答自動化だけでなく、オペレータ支援や顧客満足度向上、業務改善まで幅広くAIが活用されています。

  • 文字起こしAI
  • チャットボット
  • ボイスボット
  • 検索システムAI

それぞれ紹介していきます。

文字起こしAI

文字起こしAIは、通話内容をリアルタイムに可視化することで、オペレータ業務の効率化と品質向上に直結します。通話を自動で文字化することで、聞き漏れ防止や記録作業の負担軽減ができ、さらに内容を活用してキーワード抽出や応対スコアリングも可能だからです。


クレーム対応やトラブル応対の振り返り、通話履歴の検索・分析などに使えば、オペレータが見落としやすい課題も早期に発見できます。文字起こしAIは、コールセンターの改善サイクルを回すための基盤ツールとして品質向上に貢献します。

チャットボット

チャットボットは、FAQ対応や手続き案内を自動化し、オペレータの工数削減と顧客の自己解決を促進する有効なツールとなっています。テキストベースでの自動応答により、営業時間外でも問い合わせに対応でき、頻出質問の分析やFAQ改善にもつながるからです。


よくある質問への即時回答、商品手続きの案内、さらにオペレータへのスムーズな引き継ぎ機能を備えたシステムなら、顧客体験を損なわずに自動化できます。顧客満足度を維持しつつ、業務効率化を進められるAIツールです。

ボイスボット

ボイスボットは音声での自然な対話を自動化でき、コールセンターの電話業務負荷を大幅に軽減します。一次対応をボイスボットが行うことで、待ち呼・放棄呼を削減し、応答率100%を実現できるからです。

さらに、問合せ対応や予約受付、督促・リマインドコール業務などをAIが会話形式で処理でき、従来のIVRと異なり押す操作ではなく、自由な発話に対応できます。


顧客の要望を即時に処理しつつ、必要な場合はオペレータへ転送することで品質を確保しながら効率化できます。実際に予約受付や支払督促・リマインドコールでの導入が進んでいます。

電話対応を効率化し、オペレータを、より付加価値の高い業務へシフトさせる効果的なAIソリューションです。


ボイスボットについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ボイスボットとは?どこまで自動化できる?仕組み・メリット・活用事例を紹介

検索システムAI

検索システムAIは、オペレータが迅速かつ正確に回答できるよう支援し、対応品質と効率の両立を実現します。社内データベースやマニュアルを横断的に検索でき、複雑な質問でも最適な回答案を即時提示できるからです。


顧客応対中にFAQやマニュアルを自動で呼び出せる仕組みを導入すれば、オペレータは迷うことなく対応可能になります。また、応対履歴分析によりFAQ改善にも役立ちます。情報活用を支援することで「早く・正確に答える」体制を整え、顧客満足度向上につながります。

AIの導入を成功させるためのポイント

AI導入を成功させるためには、自社の目的や業務に合ったベンダ選定が重要です。導入後に「思ったような効果が得られなかった」とならないように、以下のポイントを確認しましょう。

  • コスト面(導入費用・運用費用のバランス)
  • 拡張性・柔軟性
  • 業界・業務への適合性

それぞれ解説していきます。

コスト面(導入費用・運用費用のバランス)

AIの導入は初期費用だけで判断してしまうと失敗します。

例えば生成AI活用や文字起こしツールは、初期費用が比較的抑えられているように見えても、月額利用料・従量課金・音声認識の精度向上に伴う追加学習費用 など、運用が始まってからかかるコストが少なくありません。


さらに、導入後のメンテナンスや業務拡張に関する費用も確認が必要です。サポート体制が十分でないベンダを選んでしまうと、トラブル発生時に追加費用が発生し、結果としてコストがかさむケースもあります。


比較検討する際には5年間運用した場合の総コストを試算し、自社の予算と期待する効果がバランスしているか を確認することが重要です。初期投資が高めでも、問い合わせ削減や応答時間短縮によってオペレータ人件費を大幅に削減できれば、トータルでプラスに転じることもあります。

拡張性・柔軟性

AIの導入時には、拡張性や柔軟性もあらかじめ確認しておきましょう。導入時の多くはスモールスタート(夜間の一次対応、対象範囲の制限など)で始まります。しかし、運用を重ねるにつれて 対象業務の拡大やチャネル連携の要望が必ず出てきます。その時に拡張性が

考えられていない、または追加設定・開発が必要なシステムだと、内容に応じて膨大な時間や費用がかかります。


以下の柔軟性があると安心です。

  • 内容編集・カスタマイズがユーザー側で可能か
  • 既存のコールセンターシステムとシームレスに連携可能
  • 外部APIを通じてCRMなどの他システムとのデータ連携ができる
  • 新しい業務フローを追加しても大幅な追加開発が不要

また、拡張性を確保する上ではベンダのロードマップを確認することも大切となります。将来的に多言語対応や生成AIとの連携を計画しているかどうかなど、開発方針が明確であれば長期的に安心して利用できます。

業界・業務への適合性

AIは汎用的な仕組みを持ちながらも、コールセンターで効果を出すためには業界特有のルールや用語に適応する必要があります。例えば、金融・保険業界では厳格な本人確認やコンプライアンス対応が求められ、医療・製薬業界では個人情報保護や専門用語の正確な理解が欠かせません。


ベンダを選定する際には以下の点をチェックしましょう。

  • 自社と近い業界での導入実績があるか
  • 過去の導入事例から成果数値(応答率の向上、オペレータ席数・人件費削減など)が確認できるか
  • 業界特有の規制やセキュリティ要件に対応しているか

特に実際の導入事例は、単なる機能紹介よりも信頼性を高める材料となります。自社と同じ規模・業種での事例を持つベンダであれば、導入後の課題や改善プロセスについても具体的なイメージを描きやすいでしょう。

AIボイスボットの導入でコールセンター業務効率化・人手不足対策を

本記事では、コールセンター業務におけるAI導入のポイントとして、効率化できる業務の種類や導入事例、メリット・デメリット、さらにベンダ選定の重要ポイントまで詳しく解説しました。


AIを活用することで、一部業務の自動化や応答率向上、コスト削減、生産性向上などの効果が期待できます。


ただし、効果を最大化するには 導入実績・コスト・拡張性・業界適合性といった観点から、信頼できるベンダを慎重に選定することが不可欠です。適切なベンダを選ぶことで、現場の負荷軽減と顧客満足度の向上を両立でき、長期的な運用の安定につながります。


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