AI-IVRとは?従来IVRとの違いや導入メリット・デメリット・導入事例まで紹介
作成日:2026年10月22日 更新日:2026年10月22日

「電話がつながりにくい」
「営業時間外の問い合わせに対応できない」
「オペレータの負担が増え続けている」
このような電話対応に関する課題を抱えていませんか。
近年、コールセンターや企業の電話窓口では、人手不足や問い合わせ件数の増加を背景に、電話業務の効率化が求められています。しかし、従来のIVR(自動音声応答)では、複雑な問い合わせへの対応や顧客体験の向上に限界を感じるケースも少なくありません。
そこで注目されているのが「AI-IVR」です。音声認識や自然言語処理の進化により、従来型以上の業務効率化と顧客満足度向上の両立が期待されています。
本記事では、AI-IVRの仕組みや従来型IVRとの違い、ボイスボットとの関係、導入メリット・デメリットをわかりやすく解説します。また、自社に最適なAI-IVRを選ぶポイントや導入事例も紹介しますので、電話対応の自動化を検討している方はぜひ参考にしてください。
AI-IVRとは?電話業務を自動化する次世代の仕組み
そもそもAI-IVRとは?
AI-IVR(Artificial Intelligence Interactive Voice Response)とは、AI技術を活用して顧客の発話内容を理解し、適切な応対や担当窓口への振り分けを行う音声応答システムです。
従来のIVRは、音声ガイダンスに従って電話機の番号を押して操作する仕組みが一般的でした。一方、AI-IVRは音声認識や自然言語処理を活用することで、顧客が話した内容を理解し、会話形式で対応できる点が特徴です。
たとえば、「請求内容を確認したい」「予約を変更したい」といった要望を顧客が話すと、AIが意図を解析し、関連する情報を案内したり、適切な窓口へ転送したりします。そのため、顧客は複数の番号を選択することなく、目的の手続きや問い合わせに進みやすくなります。
また、営業時間外の自動応答や問い合わせの一次受付などに活用することで、入電集中時の取りこぼし防止やオペレータの負担軽減も期待できます。
このようにAI-IVRは、電話業務を自動化するだけでなく、「顧客を待たせない・迷わせない」電話応対を実現する手段として、多くの企業で導入が進んでいます。
AI-IVRが注目される背景
AI-IVRが注目されている背景には、コールセンターを取り巻く環境の変化があります。
近年は人手不足の深刻化に加え、問い合わせ件数の増加や顧客ニーズの多様化により、オペレータの負担が大きくなっています。特に、入電が集中する時間帯には応答までの待ち時間が長くなり、顧客満足度の低下につながるケースも少なくありません。
こうした課題への対策として、電話対応の一部を自動化できるAI-IVRへの関心が高まっています。音声認識や自然言語処理の精度向上により、従来よりも自然な会話ができるようになったため、顧客は複雑な操作を行うことなく用件を伝えられます。
さらに、一部のAI-IVRやボイスボットでは生成AIを組み合わせ、問い合わせ内容の要約やFAQ作成、ナレッジ活用などの業務支援も可能になりつつあります。こうした技術の進歩も、AI-IVRの導入が進む要因の1つとなっています。
従来型IVRとの違い・ボイスボットとの関係
AI-IVRとボイスボットは、音声認識や自然言語処理を活用した電話応対など、機能や用途が重なり、同様の仕組みを指す場合もあります。製品によって用語の使い方や対応範囲が異なるため、名称だけで区分するのではなく、「どの業務を、どこまで自動化できるか」で比較することが重要です。
以下では、プッシュ操作を中心とする従来型IVRと、AIを活用した音声応答の主な違いを整理します。
| 比較項目 | 従来型IVR(プッシュ操作中心) | AIを活用した音声応答 (AI-IVR・ボイスボット) |
|---|---|---|
|
操作方式 |
音声ガイダンスに従って番号を入力 |
発話で用件や必要情報を伝える。プッシュ操作を併用できる製品もある |
| 対応範囲 |
用件の振り分けや、番号入力による定型的な案内・受付など |
用件の振り分け、問い合わせ対応、予約受付、情報照会など。対応範囲は製品・連携・設計によって異なる |
| 顧客体験 |
選択肢が明確な場合は操作しやすいが、案内が長いと負担になる |
発話で用件を伝えられるが、誤認識や聞き返しが負担になる場合がある |
| 導入コスト |
メニュー数や連携要件によって異なる |
自動化範囲や会話設計、連携要件によって異なる |
| 運用の柔軟性 |
案内や分岐を更新できる。変更方法は製品によって異なる |
会話フローや、製品に応じてナレッジなどを更新できる。変更方法は製品によって異なる |
なお、実際に自動化できる範囲は製品やシステム連携、応対設計によって異なります。判断が難しい場合や利用者が希望する場合に、有人対応へ切り替えられるかも確認しましょう。
また、解決したい課題や自動化したい業務範囲を明確にしたうえで、それぞれの特徴を比較検討するようにしましょう。
ボイスボットやIVRについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
参考:ボイスボットとは?IVR・生成AIとの違いをコールセンター向けに解説
参考:IVRとは?仕組み・種類・ボイスボットとの違い・導入ポイントを解説
AI-IVR導入による3つのメリット
AI-IVRは、電話応対の自動化によって業務効率化を実現するだけでなく、顧客体験や応対品質の向上にも役立ちます。ここでは、AI-IVRを導入する主なメリットを紹介します。
- 業務効率化による負担軽減
- 顧客体験の向上
- データ活用による応対品質の改善
業務効率化による負担軽減
AI-IVRのメリットの1つは、オペレータの負担軽減につながることです。
定型的な問い合わせや支払い確認、手続き案内などをAIが自動で対応することで、オペレータは判断や個別対応が必要な問い合わせに集中しやすくなります。
対応時間の短縮や業務の効率化が期待できるほか、人員配置の最適化にもつながります。入電数が多い窓口や繁忙期の対応負荷を軽減できる点もメリットといえるでしょう。
顧客体験の向上
AI-IVRは、顧客体験の向上にも貢献します。
従来のIVRでは、音声ガイダンスを聞きながら番号を選択する必要がありました。しかし、AI-IVRでは自然な会話形式で用件を伝えられるため、顧客が操作に迷うことなく目的の情報へたどり着きやすくなります。
また、24時間365日の自動応答や待ち時間の短縮にも活用できるため、利便性の向上が期待できます。顧客を長時間待たせることなく対応できる環境を整えることで、満足度向上にもつながります。
データ活用による応対品質の改善
蓄積したデータを活用して応対品質を継続的に改善できる点もメリットです。
CRMなどと連携し、必要な顧客情報を取得できる構成では、応対内容に応じた案内にも活用できます。また、問い合わせ内容や利用傾向を分析することで、シナリオや応対フローの見直しにも活用できます。
このように、運用を続けながらデータを蓄積・分析していくことで、より顧客ニーズに合った応対が実現しやすくなり、応対品質の向上につながります。
AI-IVRは、業務効率化によるオペレータ負担の軽減だけでなく、顧客体験や応対品質の向上にも貢献できるため、電話業務の最適化を支える有効な手段として注目されています。
AI-IVR導入によるデメリットと注意点
AI-IVRは業務効率化や顧客体験の向上に役立つ一方で、導入後の運用において注意すべき課題もあります。
ここでは、AI-IVRを導入することによるデメリットと注意点について解説します。
- 運用コストと設計負荷の継続
- 誤認識による応対品質のばらつき
- 社内体制・スキルの不足
運用コストと設計負荷の継続
AI-IVRは導入して終わりではなく、継続的な運用と改善が必要です。
顧客の問い合わせ内容や利用傾向は時間とともに変化するため、応対品質を維持するにはシナリオの見直しやチューニングを定期的に行わなければなりません。その結果、想定以上に運用工数やコストが発生する場合があります。
こうした負担を軽減するためには、導入前に運用ルールを明確にし、シナリオ更新を定期業務として組み込むことが重要です。また、必要に応じてベンダーのサポートを活用することで、効率的な運用につなげやすくなります。
誤認識による応対品質のばらつき
AI-IVRの性能は向上していますが、すべての発話を正確に理解できるわけではありません。
話し方のクセや方言、周囲の雑音などの影響によって、顧客の意図を正しく認識できないケースもあります。誤認識が繰り返されると顧客のストレスにつながり、満足度の低下を招く可能性があります。
そのため、運用開始後は認識結果を定期的に分析し、誤認識が発生しやすいパターンを改善していくことが重要です。継続的なチューニングを行うことで、より安定した応対品質を維持しやすくなります。
社内体制・スキルの不足
AI-IVRを効果的に活用するためには、運用体制の整備も欠かせません。
シナリオ設計や効果測定、応対データの分析などを行う担当者がいない場合、改善活動が進まず、期待した効果を十分に得られない可能性があります。
特に導入初期は、運用ノウハウの不足が課題になることもあります。そのため、管理画面の操作が分かりやすく、シナリオ編集を行いやすいサービスを選ぶことが重要です。また、導入後の支援やサポート体制が充実しているかどうかも確認しておくと安心です。
AI-IVRの導入を成功させるためには、運用コストや認識精度、社内体制といった課題を理解したうえで、継続的に改善できる環境を整えることが重要です。
自社に最適なAI-IVRを選ぶ5つのポイント
ここでは、自社の業務や顧客対応に最適なAI-IVRを選ぶために導入前に確認しておきたい5つのポイントを整理します。
- ターゲット層(顧客の傾向)と応対体験の最適化
- 自動化の目的と業務範囲の明確化
- シナリオ変更のしやすさと運用の柔軟性
- 費用対効果(ROI)と導入形態の検討
- 運用・サポート体制の確認
ターゲット層(顧客の傾向)と応対体験の最適化
AI-IVRを選定する際は、機能や性能だけでなく、自社の顧客層に適した応対体験を提供できるかを確認することが重要です。顧客属性や利用環境を踏まえたうえで、最適な応対設計を検討する必要があります。
たとえば、問い合わせ内容が定型化されており、利用者が電話操作に慣れている場合は、選択肢が明確な従来型IVRやビジュアルIVRがスムーズな対応につながることがあります。
一方で、利用者が発話での対話を好む、または高齢などで従来IVR型のプッシュボタン操作に慣れていない場合は、自然な会話でやり取りできるAI-IVRが利便性を発揮します。
自動化の目的と業務範囲の明確化
単純な振り分けだけなのか、FAQ対応や予約受付まで自動化したいのかを明確にする必要があります。 目的が曖昧なまま導入すると、運用負荷が増えるだけで効果が出にくくなる場合も考えられます。
たとえば、定型的な問い合わせを減らしたい場合は、音声による自動案内やFAQページへの誘導が候補になります。発話による用件確認や予約受付などを自動化したい場合は、AI-IVRやボイスボットについて、必要な情報の聴取から受付・手続きの完了まで対応できるかを確認するとよいでしょう。
シナリオ変更のしやすさと運用の柔軟性
繁忙期やキャンペーン時に案内内容を即時変更できるかどうかも重要なポイントです。
現場担当者がノーコードで案内やシナリオを編集できる製品であれば、変更のたびに開発担当者へ依頼する負担を減らし、改善サイクルを早めやすくなります。あわせて、編集権限やテスト、公開承認の方法も確認しましょう 。
たとえば、キャンペーン期間中に「問い合わせ窓口の混雑状況」や「受付時間の変更」を即時反映できる仕組みがあれば、顧客対応の混乱を防ぎ、現場の運用負荷も軽減できます。
費用対効果(ROI)と導入形態の検討
導入・運用コストに対して、業務効率化や顧客満足度などの指標がどの程度改善したかを評価することが重要です。単なる価格比較ではなく、ROI(投資対効果)を基準に選定するのが望ましいでしょう。
また、クラウド型は、設備を自社で保有せずに導入でき、運用・保守をサービス提供者に任せやすい点が特徴です。一方、オンプレミス型は自社要件に合わせて構成しやすい反面、設備投資や保守・運用体制が必要になります。
セキュリティについては提供形態だけで判断せず、暗号化、アクセス制御、データ保管場所、障害対策、認証・監査体制などを確認しましょう。
自社の運用体制や目的に合わせ、費用対効果と運用形態の両面から最適な方式を検討することが大切です。
運用・サポート体制の確認
AI-IVRは導入後も継続的な改善が必要になるため、運用を支援するサポート体制が整っているかを確認しておきましょう。シナリオ設計やデータ分析を自社で行う場合は、操作性や管理画面の使いやすさも重要な選定基準になります。
AI-IVRに関連する電話応対自動化の事例
ここでは、AI-IVRに関連する電話応対自動化の事例を2つ紹介します。
- 事例①:岐阜県関自動車学校株式会社様
- 事例②:株式会社ベネフィット・ワン様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
|
業態 |
自動車教習所(高齢者講習受付) |
| 課題 |
指導員が電話応対を兼務しており、本来の指導員業務に集中できない状態だった。また、従来導入していたIVRでは、予約受付後に内容確認のため折り返し連絡が必要だったが、電話を取らない利用者が多く、予約が完了できないケースがあった。 |
| 導入内容 |
高齢者講習の電話受付にcommuboを導入。聴取内容をテキスト化してCSVで出力し、自社で構築したRPAを介して基幹システムや予約確認ハガキの作成につなげた。会話内容は同社とソフトフロントジャパンが協議・調整し、テストを重ねて構築した。 |
| 導入効果 |
・会話内容をデータ化できる受付を実現 ・後工程を含む人による対応時間を15分から5分に短縮 ・指導員が電話応対兼務から解放され、指導や他の業務に集中できるようになった |
従来のIVRで発生していた予約完了までの手間に対し、音声による会話型の受付を活用して業務を自動化しています。AI-IVRは単に電話を振り分けるだけでなく、利用者との会話を通じて必要な情報を取得できる点が特徴です。
[事例] 岐阜県関自動車学校株式会社様|プッシュボタンの課題を乗り越え、長時間の電話応対を自動化へ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
|
業態 |
ヘルスケア事業(健康診断の予約受付代行) |
| 課題 |
春・秋の繁忙期に電話が集中し応答率が低下していた。また、電話対応に追われることで、健診機関への連絡や事務処理などの後工程が滞留していた。さらに繁忙期ごとの人員確保や教育コストも課題となっていた。 |
| 導入内容 |
健康診断予約の変更・キャンセル受付に「commubo」を導入。氏名は音声で聴取し、予約番号など桁数の多い情報はプッシュボタンで入力する運用を採用した。 |
| 導入効果 |
・ボイスボットによる業務完了率85%を実現 ・繁忙期の応答率が従来より約10ポイント改善 ・繁忙期に約350時間/月(試算)の工数削減を実現 ・現場主体で運用できる体制を構築し、安定運用を継続 |
すべての情報を音声認識で取得するのではなく、氏名は音声で聴取し、予約番号などの数字情報はプッシュボタン入力を活用しています。AI-IVRでは、取得する情報の特性に応じて音声対話とプッシュ操作を組み合わせる設計も有効です。
[事例] 株式会社ベネフィット・ワン 様 | 現場主導で受付フローを再設計。変更・キャンセル受付の自動化により、繁忙期の応答率約10ポイント改善・約350時間/月(試算)の工数削減を実現
これらの事例からわかるように、電話応対の自動化では「音声認識か、プッシュ操作か」という二択ではなく、問い合わせ内容や利用シーンに応じて最適な方法を組み合わせることが重要です。
AI-IVRを選定する際は、自社の顧客や業務に合わせて、音声対話・プッシュ操作などを柔軟に組み合わせられるかという視点で検討するとよいでしょう。
電話応対の自動化ならAIボイスボット「commubo」
IVR(自動音声応答)は、電話業務の効率化を支える重要な仕組みとして多くの企業で活用されています。 しかし、従来型IVRでは「押し間違い」や「案内が長い」といった課題が生じやすく、CS(顧客満足度)の向上には限界がありました。
自然会話AIボイスボット「commubo(コミュボ)」は、あらかじめ設計した会話フローに沿って処理するシナリオ型と、プロンプトやナレッジを活用する生成AI型を、業務内容に応じて使い分けられます。また、音声による対話だけでなく、電話機のボタンを使ったプッシュ操作にも対応しているため、利用者や業務に応じて操作方法を設計できます。音声認識による操作に不安がある場合や、番号入力による確実な選択が適している場面では、プッシュ操作を組み合わせることも可能です。
必要に応じて有人対応へ転送できるほか、既存の電話システムやCRMなどとの連携にも対応しています。既存のIVRを含む電話環境との接続方法は、現在の構成や業務要件に応じて検討できます。
AI-IVRの導入や電話対応の自動化をご検討の際は、ぜひソフトフロントジャパンまでお気軽にお問い合わせください。
