AI活用は実証から実運用へ。展示会で見えた最新トレンドを解説【コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2026 in 大阪レポート】

作成日:2026年7月7日 更新日:2026年7月7日

コンタクトセンターAI活用(ボイスボット・音声AI・生成AI・AIエージェント)のイメージ

2026年5月27・28日にマイドームおおさかで開催されたコールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2026 in 大阪では、コンタクトセンター業界におけるAI活用が新たな段階に入ったことを感じさせる展示や講演が数多く見られました。

AIエージェントや生成AIへの関心は依然として高い一方で、来場者の関心の中心は「何ができるか」から「どの業務にどう活用するか」へと変化しています。

本記事では、展示会全体を通じて見えた市場トレンドの変化や、導入時に押さえておきたいポイントをレポート形式でご紹介します。

目次

関心は技術の可能性から実運用へ:展示会で見えたAI活用トレンド

今年の展示会テーマは「AI×人」で描く新・顧客体験 成果を生むコンタクトセンター最前線

コンタクトセンターにおける生成AI活用は、人手不足の解消だけではなくカスタマーサービスに付加価値をもたらすために、いまや不可欠な取り組みとなっています。展示会場では、新サービスの導入検討だけでなく、成果を出す活用方法を探るため、活発な意見交換・商談が行われていました。


ブースでは、顧客対応から後続業務までを一気通貫でつなぐ「AIエージェント」、一つの業務に対し専門性を持つAIを複数活用する「生成AIの多段階活用」、そして自然な対話を実現する「音声AI」などが目立ちました。

最先端のAI活用の情報が集まる場所として、AI関連ブースやセミナーには多くの来場者が集まり、大いに盛り上がりました。

「どの業務にどう適用し、どの成果を目指すのか」AI活用検討の具体化

コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2026 in 大阪 主催者発表資料によると、「AIなどの最先端ITの導入」を課題として挙げる回答が、前回開催比で約10ポイント増加しており、AI活用への意欲の高まりがうかがえました。実際に来場者からは、「AI導入を様子見しては、顧客応対品質や競争力に差がつくのではないか」という声もあり、AI活用を巡る競争環境への危機意識を持つ企業も見受けられました。

コールセンターの課題調査結果グラフ。生産性向上とAI導入が上位

会場内は、昨年までは「AIで何ができるのか」を示すデモが中心でしたが、今回は「どの業務にどう適用し、どの成果を目指すのか」という具体的な導入・活用の議論が中心となっていました。

セミナーでも、導入プロセスや運用体制、KPI、効果測定の方法など、現場視点の内容が目立ち、AI活用は検証段階(PoC)からいまや実践段階へ移行しつつあると言えそうです。

生成AIのリスクを考慮した、利用業務の変化

生成AIを活用する業務も具体化、多様化しています。以前は通話内容の自動要約やFAQサジェストなどに注目が集まっていましたが、現在ではセキュリティやハルシネーションなどのリスクを踏まえたうえで、効果を得やすい社内業務への活用提案が多く見られました。例えば、オペレータ教育向けのロールプレイや応対評価、ACW(後処理業務)の削減、オペレータ支援、VoC分析などです。

また、AI活用を安全かつ効果的に推進するための基盤整備として、ナレッジマネジメントやVoCのナレッジ化に関する提案も見られました。

コールセンター/CRM デモ&コンファレンス2026の展示会場通路の様子

多様化する音声AI、ボイスボット運用の現実解の深化

音声AIの進化により、ボイスボット市場は大きな広がりを見せています。一方で、導入企業・ベンダ双方の議論は、技術そのものから運用設計へと移行しつつありました。

音声AI(Speech-to-Speech)の進歩による、生成AI型ボイスボットの広がり

今回の展示会では、音声AI技術の進歩を背景に、生成AI型ボイスボットの可能性が大きく広がっていることが感じられました。

特に、Speech-to-Speech技術(音声をテキストに変換せず、音声のまま理解・生成する技術)の進化によって、応対速度が短縮され、より人との会話に近い自然な応対を実現するボイスボットデモが増加していました。

従来からボイスボットを提供してきたベンダに加え、チャットボットベンダ、CTIベンダ、BPO事業者なども音声対話機能を提供し始め、コンタクトセンターを取り巻くさまざまなプレイヤーが参入する市場へと変化しています。

後工程をAIで自動化する、AIエージェントとしての活用も進む

ボイスボットの役割も、単純な電話自動応答から一歩進みつつあります。

会場では、電話応対だけで完結するのではなく、CRMや業務システムへの更新作業をAIエージェントが行う提案が数多く見られました。問い合わせ受付後の情報登録、予約処理、チケット発行、担当部署への連携など、後続業務まで含めて自動化する考え方です。

顧客対応だけでなく、その後の業務フローまで含めて効率化することで、コンタクトセンター全体の生産性向上を目指す動きが広がっていました。

一方で生成AIのコントロールには課題も

一方で、セミナーやブースで多くのベンダやユーザー企業が共通して語っていたのが、生成AIの適用範囲をコントロールする重要性です。

ハルシネーションによる誤回答、情報管理セキュリティ、ナレッジの整備やメンテナンス負荷など、全てをAIに任せようとするほど、運用管理やリスク対策の負荷が高まります。

AIの性能向上だけで解決できる課題ではなく、業務設計や運用ルールを含めたコントロールの重要性が改めて提唱されていました。

運用ノウハウや具体事例への関心が高まる

セミナーで目立ったのも、技術紹介よりも導入企業による事例や、運用ノウハウに関するテーマです。

スモールスタートによる段階的導入や、運用・改善の進め方、推進部門と現場部門が連携する体制づくり、PoCから本番運用へ移行するためのポイントなど、実践的な内容が多く取り上げられていました。

また、「期待した成果が出ない」「運用負荷が想定以上に大きい」といった実運用上の課題への対応策を紹介する講演も見られました。導入後の定着や改善活動をどう進めるかが、重要なテーマとなっています。

「適材適所活用」の提案が主流となる中、「後工程までフルAI化」の台頭も

ボイスボットベンダ各社ブースを見ていると、可能性訴求と実用性訴求のサービスがそれぞれ見受けられました。

可能性訴求は、顧客対応から後処理、ナレッジ更新までAIへ任せていく「フルAI化」。実用性訴求は、AIが得意な業務と人が担うべき業務を切り分ける「適材適所活用」のアプローチです。

後者は、生成AIを回答生成だけでなく意図理解や振り分けに活用し、コールリーズン特定や複雑なヒアリングなど一次受付を高度化するなどが挙げられます。後続のオペレータによる応対を、負荷を軽減し余裕を生むことで、生産性と顧客応対品質の両面を高めることができます。

コールセンター/CRM デモ&コンファレンス2026のセミナー会場、聴講する来場者

生成AI型ボイスボット導入で失敗しないために ― 実運用で求められる業務設計とは

生成AI型ボイスボットへの関心が高まる中、企業が直面しているのは「どの業務に適用すべきか」「どう運用すれば成果につながるのか」という実践的な課題です。ソフトフロントではこうした課題をテーマに講演し、会場は満席と来場者の関心の高さがうかがえました。

ここからは、その講演内容をかいつまんでご紹介します。

生成AI活用で立ちはだかる「正確性」と「顧客体験」の壁

講演ではまず、電話応対における生成AI活用の難しさについて解説しました。

コンタクトセンターでは「お客様に正しい回答を返すこと」が強く求められます。生成AIによって柔軟な会話が可能になった一方で、誤案内は顧客体験を損ない、顧客満足度や企業への信頼の低下に直結するリスクを持っています。

特に生成AIは質問に対して積極的に回答しようとする傾向があるため、時には根拠のない回答や想定外の応答を返してしまうことがあります。そのため、生成AIの活用においては性能向上だけでなく、「どこまで回答させるか」「どのように制御するか」という設計が欠かせません。

成功の鍵は業務設計 ―「AIに向く業務」ではなく「リスク管理できる業務」を選ぶ

講演では、「業務リスクを管理できるか」という視点で、導入業務を選定することの重要性を紹介しました。

特に導入初期は、呼量が多い業務や定型性の高い業務、判断基準が明確な業務など、成果を測定しやすくリスクをコントロールしやすい領域から着手することが有効です。


一次受付や問い合わせ分類、情報取得、折り返し受付などは、現場負荷が高い一方で顧客影響を限定しやすく、ボイスボットとの親和性が高い業務として挙げられます。また、例外発生時の有人転送ルールを事前に定義できるか、現場の理解や合意を得られるかといった観点も重要です。

AI化の対象を広げることよりも、成果が出やすい業務から段階的に導入することが、結果として運用定着や効果創出につながるという考え方を解説しました。

commuboセミナー資料「任せて良い業務の条件」のスライド

現実解として注目される「ハイブリッド型ボイスボット」

こうした考え方を踏まえ、講演では生成AI型・シナリオ型のボイスボットと有人オペレータを組み合わせたハイブリッド型ボイスボットについても紹介しました。

生成AI型は自然な会話や意図理解を担い、本人確認や手続き処理など正確性が求められる部分はシナリオ型で制御する。そして複雑な内容は有人オペレータへ引き継ぐことで、利便性と業務品質の両立を目指します。


生成AIの活用が進む中でも、すべてをAIに任せることが正解とは限りません。技術の特性を理解しながら適材適所で活用することが、実運用における現実的なアプローチとして聴講者の共感を呼んでいました。

commuboブースでは最新のデモや事例を公開

ソフトフロントが提供するボイスボット、commuboブースでは、生成AI型ボイスボットを活用した最新デモを展示するとともに、実際の導入事例も紹介しました。来場者との対話を通じて見えてきたのは、自社業務への適用方法や運用体制に関する具体的な検討が進んでいることでした。

生成AI型によるライブデモ:代表電話、多言語対応、市役所相談窓口、ヘルプデスク

ブースでは、生成AI型ボイスボットによる、下記の業務を想定したライブデモを実施しました。従来はシナリオ設計が複雑になりやすかった業務においても、生成AI型による柔軟な対話が可能であることを紹介しました。

  • 代表電話受付:用件の聞き取りと、ナレッジ登録した社員一覧に基づいた、担当者の特定・転送
  • 多言語対応:プロンプトで複数言語の対応指示が可能、相手の発話に応じて対応する言語を切替
  • 市役所相談窓口:文脈理解でヒアリング深堀、相手に寄り添った応対
  • テクサポ(ログイン不具合解消):状況をヒアリングし、相手のペースに合わせ順を追って手順を説明

会話の自然さや、自由に会話できる柔軟性といった電話体験の向上だけでなく、その会話フローをユーザー自身がプロンプトで簡単に制御できる点に、高く評価をいただきました。


デモの一部は下記動画でもご覧いただけます。

生成AI型ボイスボットの代表電話デモ|AIボイスボット「commubo(コミュボ)」

commuboブースでボイスボットのデモを体験する来場者

事例:生成AI活用から業界別業務まで幅広く紹介

ブースでは、生成AI型を活用した事例に加え、自治体、製造業、インフラ、金融、通販など、さまざまな業界・業務での活用事例を紹介しました。問い合わせ一次受付や代表電話対応、社内ヘルプデスク、解約受付、開栓受付、督促業務など、導入目的も業務内容も多岐にわたります。

来場者の中には、自社と近い業界や業務の事例をもとに導入イメージを具体化して来場した方も多く、事例への関心の高さが印象的でした。

来場者から寄せられた相談内容

ブースで寄せられた相談の多くも、内容が高度化してきた印象です。

自動化したい業務や業務フローをあらかじめ定めてきたうえで、「自社で構築・運用するにはどうしたらいいか」「電話のつなぎの部分をどうすればよいか」「過去PoCで止まっていたが、運用方法を見直して再検討したい」といった具体的な導入の相談も増えました。

また、「まずは一部業務から始めたい」「小規模に導入して効果を確認したい」といったスモールスタート志向の声も多く聞かれました。

展示会で見えた3つのトレンドと、コールセンター管理者がこれから考えるべきAI活用の視点

今回の展示会で見えた主なトレンドは、以下の3点です。

AI活用は「可能性の検証」から「実運用・成果創出」のフェーズへ

AIで何ができるかを試す段階から、どの業務に適用し、どのような成果を生み出すかを重視する段階へと関心が移っています。導入プロセスや運用体制、KPI設計など、実践的なテーマへの注目が高まっていました。

音声AIの進化でボイスボット市場は拡大、競争軸は運用設計へ

音声AI技術の進歩により、生成AI型ボイスボットの活用領域は大きく広がっています。

一方で、議論の中心は技術そのものから、リスク管理や業務設計を含めた運用のあり方へと移りつつあります。

「フルAI化」への期待と、「適材適所活用」の現実解が並行して進行

顧客対応から後続業務までAIで自動化するアプローチが広がる一方、AIと人の役割を切り分けながら活用する考え方にも注目が集まっています。

企業は自社業務やリスク許容度に応じて最適な活用方法を模索する段階に入っています。


今回の展示会を通じて強く感じられたのは、AI活用の議論が「導入するかどうか」から、「どのように成果につなげるか」へと移行していることです。生成AI型ボイスボットも、単なる自動応答ツールではなく、業務設計や運用体制を含めて検討するフェーズに入りつつあります。

一方で、最適な活用方法は業界や業務によって大きく異なります。そのため、自社と近い業界・業務の事例を参考にしながら、スモールスタートで適用領域を見極めていくことが重要です。


AIボイスボット「commubo(コミュボ)」では、自治体、製造業、インフラ、金融、通販など幅広い業界におけるボイスボット活用事例をご紹介しています。また、生成AI型ボイスボットの導入や活用をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。

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