ボイスボットの費用対効果とは?人手不足時代に“ペイする・しない”導入の考え方
作成日:2026年2月6日 更新日:2026年2月6日

ボイスボットを検討する際、多くの担当者が最初にぶつかるのが「費用対効果は本当に合うのか」という疑問です。
人手不足が続くコンタクトセンターでは、自動化による効率化が求められる一方で、「導入コストが高そう」「どこまで人件費を削減できるのか説明しづらい」といった理由から、導入判断が先送りされがちです。
特に導入担当者の立場では、自身としては有効性を感じていても、上司や経営層に対して理由と効果を説明する責任があります。
結論から言うと、ボイスボットの費用対効果は
- 月間呼量が多い
- 定型業務が一定量ある
- 繁閑差や営業時間外対応が発生している
などの、ボイスボット特性にあった業務を選定することで効果を発揮します。
さらに、費用構造をきちんと理解することで、適切な費用対効果を社内で説明できるようになります。
本記事では、それぞれのコストを分解しながら、どのような業務で、どのように使えば費用対効果が見えやすくなるのかを、簡易シュミレーションなども踏まえて整理します。
費用対効果が見えないとボイスボット導入が進まない
人手不足で自動化ニーズは高い
コンタクトセンター業界では、人手不足が常態化しており、呼量は大きく減らない一方で、採用難や離職率の高さから、必要な要員を安定的に確保することが難しくなっています。
こうした背景から、ボイスボットをはじめとした自動化ツールへの期待が年々高まっています。
自動化ツールは「便利そう」だけでは導入できない
一方で、実際の導入判断は簡単ではありません。導入費用やランニングコストが発生し、従来の体制を変更する必要があるため、導入担当者は必ず費用対効果を問われます。
特に上司や経営層への説明では、「どれくらいの効果が見込めるのか」といった問いに答える必要があります。ここで感覚的な説明にとどまってしまうと、社内検討が進みません。
費用対効果をどう出せばいいのかわからず、導入が先送りに
ボイスボット導入は複合的に効果を発揮するため、人の代替=席数削減効果のみに目を向けると「費用対効果が悪い」ようにも見えかねません。そうすると社内検討が進まず、現状の体制維持という結論になりがちです。
社内導入を進めるには、その効果をきちんと理解し、直接的なコストの削減以外の成果についても見える化をする必要があります。
ボイスボットの費用構造とは
初期費用
初期費用は、数十万円から数百万円と幅があるケースが一般的です。
この差が生まれる理由は、単に価格設定の違いではなく、下記項目のどこまでを初期構築に含めているかにあります。
- システム設定費
- 電話回線設定費
- ボイスボットのシナリオ構築
- 他システムとの連携設定
- コンサルテーション
- 上記構築にあたっての各種サポート
自社で運用をするか、ベンダに運用まで任せるかによって金額は大きく異なります。
表面的な金額だけを見ると高く感じる場合でも、実際には「社内でやるはずだった作業」が含まれているケースもあり、単純な高い・安い比較は難しいポイントです。
月額費用
月額費用は多くの場合、システム利用料のような固定費と、利用量に応じた変動費に分かれています。
- 固定費
-システム利用料(数万~数十万)
- 変動費
-通話料:通話時間や呼量に応じて変動する従量課金(ベンダによって定額制にしているところも)
-転送料:ボイスボットからオペレータへの外線転送時に発生
-オプション利用料:SMS送信など
導入以降定期的に発生する費用のため、取り扱う呼量や業務内容に合わせて適切なベンダを選定するのがポイントです。
運用コスト
ボイスボットは導入して終わりではなく、PDCAを回す運用や、業務によってはオペレータとの連携や後処理対応など、継続的に運用にリソースをかける必要があります。
- 運用管理:運用状況のモニタリング、レポーティング
- 運用改善:シナリオ改善・変更対応、音声認識の精度メンテナンスなど
- ボイスボット応対のバックアップ:住所や予約情報など応対内容のダブルチェック、聴収項目のシステム登録など
運用はベンダやBPOに外注する場合もありますが、自社内で運用を行う場合がほとんどです。初期費用と同様、「人件費ゼロで回る」と考えてしまうと現実とのギャップが生じます。
ボイスボットの費用対効果はどうやって算出する?
費用対効果の観点だと、「席数削減」「残業代削減」などの直接的なコストにのみ目が向きがちですが、間接的に影響を与える運用面でのコストにも着目する必要があります。
ここではボイスボット導入にあたり影響がある3つの費用について解説します。
直接コスト削減(今すぐ数字にできる効果)
- 応対時間の削減
電話応対をボイスボットが対応することで、その時間オペレータは他の業務に従事することができます。
また、ボイスボットが一次応対のみを行う場合も、オペレータは一次ヒアリングの必要がなくなるため、1件あたりの応対時間を短縮することができます。
- 夜間休日対応費の削減
夜間や休日など、人件費が割高になりやすい時間帯をボイスボットが応対することでカバーします。
- 後工程の削減
会話内容のテキスト化、関係者への通知、CRMへの応対履歴書き込みなど、通話後に発生する作業もボイスボット機能でサポートすることで、応対時間だけでなく後工程も軽減できます。
間接コスト削減(中長期で効いてくる効果)
ボイスボットは設定された内容に従い、呼量に応じて稼働するため、一定の教育がなされた状態のオペレータを量産することができます。さらにそのオペレータは辞めません。
これにより、稼働コストだけでなく、管理者による下記のコストも削減することができます。
- 採用コスト
採用募集時の広告費やエージェントへの報酬、社内採用プロセスにかかるコスト
- 教育コスト
研修・OJT期間中に発生する時給や、トレーナーにかかるコスト
- 管理コスト
繁閑期の呼量予測や、それに基づいた席数発注・シフト調整にかかるコスト
特に管理コストは、管理職の見えないリソース・コストの削減だけではなく、プレッシャーからの解放にもつながります。
呼量予測を100%的中させることは難しく、とはいえ余裕を持った席数ではコスト過剰に繋がり、余裕がない席数だと現場の疲弊やあふれ呼につながります。
ボイスボットなら、呼量予測の上振れが発生しても吸収できるため、シフト計画に対するハードルが下がり、管理者の負荷も下げることができます。ほかにも、人が確保しづらい夜間休日の人材確保や、突発的なキャンペーン実施に対する増員対策にも、動く必要がなくなります。
機会損失の回収(売上につながる効果)
電話に出られない状況は、問い合わせの未解決だけでなく、下記のような本来獲得できた売上や予約の機会損失にも直結します。
- 通販業界:注文受付
電話に対応できないことで購入自体を断念される
- レストランや病院など:予約受付
予約の取りこぼしがそのまま来店・来院機会の減少につながる
ボイスボットを活用すれば、ピーク時や営業時間外でも受付を継続でき、「人が出られない時間帯」に発生していた収益機会を逃さず拾い上げることが可能になります。
どんな業務ならボイスボットは費用対効果が出る?
ここまで、ボイスボットの費用対効果を評価するための考え方や指標を整理してきました。
では、それらの視点を踏まえると、実際にどのような業務で費用対効果が出やすいのでしょうか。
ボイスボットは導入すれば等しく費用対効果が出る、というものではなく、業務の性質によって向き・不向きと効果が分かれます。企画段階でこの前提を押さえておかないと、「期待している効果が数値で見えてこない」という評価につながりやすくなります。
ここでは、それぞれの特性を解説し、業務に応じた費用対効果のポイントを解説します。
費用対効果が出やすい/出にくい業務の判断軸
ボイスボットは設定されたシナリオ/プロンプトに応じて応対する特性上、「業務が限定的・定型的」な業務が向いています。
また自動化ツールであることも踏まえ、下記のような業務は費用対効果が出やすいです。
- 呼量が多い
- 会話ラリーが少ない
- 会話パターンが定型的
- 営業時間外や土日祝日など、オペレータのシフトが組みにくい時間帯の対応
一方、費用対効果が出にくい業務としては、上記に当てはまらないような下記の業務があります。
こちらは一次応対のみに切り分ける、業務拡張時に自動化するなど、運用方法を考慮する必要があります。
- 呼量が少ない
- 例外が多い
- 感情対応が中心
ボイスボットに向いている、向いていないシーンについては下記も併せてご覧ください。
インバウンド業務:待機コストとピーク時の人員補填の解消
インバウンド業務におけるボイスボット導入のポイントは、「繁閑差を埋める」点にあります。
繁忙期や特定の曜日・時間帯だけ呼量が集中する、下記のような業界・業務ほど、ボイスボットの費用対効果は出やすくなります。
- 引っ越し時のガス・電気、不動産、年末調整時の保険の窓口など、年間で特定の繁忙期がある業界
- 通販など、CMやSNSなどでのキャンペーンを行い一時的に膨大な呼量を受ける業界
閑散期に過剰な人員配置をしてしまうと、応答待ちの時間も人件費として積み上がってしまい、非効率な運用となってしまいます。
ボイスボットの場合、電話に応答した分だけ稼働する仕組みのため、待機コストは発生しません。
一方繁忙期は、定型問合せや一次受付をボイスボットが行うことで、オペレータは対応すべき呼量が減り、ピークに合わせて人員を厚く配置する必要性も下がります。人を減らせない場合でも、「稼働の余白」が生まれ、後工程や判断が必要な対応に集中できるようになります。
アウトバウンド業務:応答待ちコストと人員確保の解放
アウトバウンド業務での最大のポイントは、「電話がつながった分だけコストが発生する」点です。
応答率が低いアウトバウンド業務では、人が架電する場合は応答待ちの時間や無駄打ちが発生しますが、ボイスボットであれば相手が応答したコールにのみ稼働・課金されます。そのため下記のような業務で特に効果を発揮します。
- 毎月一定の時期にまとまって架電の必要性が発生する督促業務
- 短期間で大量架電の必要性が発生するキャンペーン業務
- メール等でなく電話で確実に伝達を行いたいリマインドコール
特に、短期間で大量に発信するキャンペーン型業務では、ボイスボットの費用対効果が顕著に現れます。
人手では現実的でなかった発信件数を、短期間で実行できるため、「採用・教育コスト削減」だけでなく、「これまで人手では実行できなかった施策が、現実的な選択肢になる」という価値も生まれます。
費用対効果の簡易シミュレーション方法と例
ここまでの内容を踏まえ、実際の現場ではどの程度の費用対効果が見込めるのか、簡単なシミュレーションで考えてみます。
細かい計算より「考え方」を押さえる
ボイスボットの費用対効果を検討する際、「正確な金額を出さないと社内説明ができない」と感じる方は少なくありません。ただ、企画段階でいきなり厳密な数値を算出する必要はなく、まずは概算レベルで「ペイする構造かどうか」を掴むことが重要です。
この考え方を整理しておくことで、上司や経営層への説明もしやすくなります。
シミュレーションに必要な基本情報
- 月間呼量
- 平均通話時間
- オペレータの時給
- 応答率(アウトバウンドの場合)
これらの情報は、詳細でなくても構いません。「だいたいこのくらい」というレンジで十分です。重要なのは、実態から大きく外れていないことと、社内で説明したときに納得感のある前提になっていることです。
インバウンド業務の簡易シミュレーション例
たとえば、月間呼量2,000件、平均応対時間10分の業務、オペレータの時給が2,000円の場合、
単純計算で、2,000件×10分÷60分=166.6時間×2,000円=約666,000円分の業務をボイスボットが担うことになります。
ただし、この金額だけをボイスボット費用と比較するのではなく、オペレータの稼働率、繁閑期のシフト調整、あふれ呼を吸収するための追加人件費等も含めて比較をする必要があります。
仮にオペレータの稼働率を80%とした場合、オペレータの残りの出勤時間(待機時間等)も考慮すると、
2,000件×5分÷60分=166.6時間÷80%(稼働率)×2,000円=約832,000円分の人件費となり、これに加え、シフト調整に苦心する管理職にかかる時間費用も勘定すると、費用対効果の見方はまた違ってくるはずです。
つまりこのケースでは、表面上の人件費よりも、実際の運用コストは2〜3割高く見積もる必要があります。
アウトバウンド業務の簡易シミュレーション例
アウトバウンドでは、1キャンペーン単位で考えるのが現実的です。
たとえば、10,000件へ発信し、応答率が10%、平均応対時間が5分のケースを想定します。
人で対応する場合、電話に応答しなかった場合にかかる時間を仮に30秒とすると、全てのリストを消化するのに
応答した場合の応対時間[10,000件×10%×5分]+応答しなかった場合の作業時間[10,000×90%×1分]÷60分=約233時間、時給換算(×2,000円)すると466,000円かかります。
一方、ボイスボットであれば、リスト一斉発信し、つながった分だけ稼働するため、短期間で一気に実行できます。この差分が、そのまま費用対効果として現れます。
応答した場合の応対時間[10,000件×10%×5分]+応答しなかった場合の作業時間[10,000×90%×0分]÷60分=約83時間(実際はロボット複数稼働で行うため、完了時間はより短縮化される)
これを、ボイスボットの従量課金で換算した費用と付け合わせると、費用対効果が見えてきます。
シミュレーションに含めにくいが重要なコスト
前段で解説した間接コストについても考慮することが必要です。
シミュレーションの段階では金額換算しなくても、「こうしたコストも背景にある」という前提を共有しておくことで、導入判断の説得力が高まります。
シュミレーションに加え、実際のボイスボットの導入事例を読むことも、ペイする構造をつかむことに繋がります。例えば、commuboの導入企業は、ボイスボットを導入することで席数を増やさずに呼量増加に対応した事例や、アウトバウンドコールで人件費を70%削減した成果も出ています。
詳しくはこちらもご覧ください。
数字にしにくいが、稟議で効くボイスボット導入による副次効果
これまで述べてきた効果は、比較的数値化しやすいものが中心でしたが、効果は人件費の削減や生産性向上だけではありません。
下記のような効果は、金額換算しにくいものの、コールセンターの価値を最大化する効果も期待できます。
従業員満足度(ES)向上:オペレータの負荷軽減
一次業務をボイスボットに任せることで、オペレータは判断や説明が必要な対応に集中できるようになります。これは単なる業務効率化にとどまらず、働きやすさの改善、いわゆるEX(従業員体験)の向上にも寄与します。
従来、日々のコールや待ち呼に追われていたオペレータの業務負荷が軽減されることで、疲弊やストレスが減り、結果として応対品質の安定や離職率の低下につながります。中長期的には採用・教育コストの抑制という形で費用対効果にも影響してきます。
顧客満足度(CS)向上:ネガティブな顧客体験の解消
電話がつながらない、待たされる、たらい回しにされるといった体験を減らすだけでも、顧客の印象は大きく変わります。
ボイスボットを導入することでの応答率や応答速度の改善は、お客様の嫌な顧客体験をなくします。また、オペレータに余裕が生まれることで、応対品質の向上にもつながります。
この体験の積み重ねが、企業全体への印象に影響し、長期的な顧客満足度の向上、ひいては顧客のファン化や離脱防止につながります。
費用対効果を最大化する設計ポイントとは?
業務を一つに限定せず、複数業務を検討する
ボイスボットは、一次受付だけ、FAQ回答だけといった、「特定の1つの業務だけに使う」前提だと、呼量が少なくなりがちで、初期費用や月額費用が相対的に重く見えてしまいます。
ボイスボットは一度導入してしまえば拡張は簡単です。業務を横断して活用するほど、1業務あたりのコストは下がっていきます。
段階導入が費用対効果を最大化する
最初からすべてを自動化する必要はなく、現実的には、費用対効果が出やすい業務から順に導入し、PDCAを回しながら適用範囲を広げていく形が適しています。
この段階導入によって、初期投資のリスクを抑えつつ、実績をもとに社内理解を深めることができます。結果として、追加業務の導入判断がしやすくなり、ボイスボット全体としての費用対効果も高まっていきます。
自社の運用に適したツールを選定する
ボイスボットはツールごとに、操作性、拡張性、システム連携のしやすさなどが異なります。
将来的な業務拡張の予定、既存システムとの連携要件、運用を内製するのか外注するのかといった点を踏まえ、自社の運用に無理なくフィットするツールを選定することが、費用対効果を最大化するうえで重要です。
ボイスボットの費用対効果は「業務設計」で決まる
ボイスボットの費用対効果は、ツールの価格や機能差ではなく、その費用構造と特性を理解したうえで「どの業務を、どの範囲で任せるか」という業務設計によって決まります。
ボイスボットは人員削減が目的ではなく、稼働時間の削減や要員増加の抑制、応答率やCXの改善といった効果が積み重なります。
導入を検討する際は、まず自社の問い合わせ内容と業務フローを整理し、どこを自動化すると効果が出やすいかを見極めることが重要です。そのうえで、実際の呼量や対応時間をもとに数字で整理すると、費用対効果はより現実的に判断できます。
自社業務に当てはめた場合の費用感やROIを知りたい場合は、簡易的なシミュレーションから検討してみてください。ボイスボットが「検討すべき選択肢かどうか」を、具体的に判断できるはずです。
AIボイスボット「commubo(コミュボ)」では、どの業務が自動化に向いているか、どの程度の費用対効果が見込めそうか、といった観点での整理も行っています。
400社超の企業にボイスボットを提供し、様々な業界・業務の運用相談を受けてきたcommuboが、その実績・経験値からご提案をさせていただきます。
社内検討や稟議資料作成の参考として、情報整理から相談したい場合は、お気軽にご相談ください。

commuboラボとは?
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今まで400社以上に電話応対自動化ソリューションを提供してきたソフトフロントが、自動化の考え方や、ボイスボット活用のコツ、お客様の活用事例、AI活用のトレンドなどをご紹介し、企業の生産性向上だけでなく、その先のお客様の顧客体験(CX)向上に役立つ情報を提供していきます。










