ボイスボットは内線接続できる?転送コストと運用設計で変わる電話対応の仕組み
作成日:2026年3月19日 更新日:2026年3月19日
ボイスボットをPBX/CTIと内線接続する構成は、外線接続と比べて転送コストや運用設計に大きな差を生みます。
本記事では、ボイスボットを“外に追加する仕組み”としてではなく、運用の中にどう組み込むかという視点から整理します。
ボイスボットは、既存の電話環境とは“別の外側の仕組み”として導入されることが一般的です。
しかし、その前提のまま設計を進めると、本来選べたはずの運用構造を見落とすことがあります。
- 転送コストが想定以上に積み上がる
- 発信元番号が分断される
- 引き継ぎ時に顧客が情報を言い直す
こうした課題の背景にあるのは、「機能」ではなく「接続構成」です。
本記事では、PBX/CTIと連携する“内線化”という設計視点から整理します。
ボイスボットは内線接続できる?配置で変わる電話運用の構造
多くの企業が抱く「ボイスボットは外部システム」というイメージ
ボイスボットは、ロボットを稼働させて電話応対をするクラウドサービスです。
既存のPBXやCTIとは別の“外側の仕組み”で、必要な業務を自動化する「追加システム」のようにとらえられることが一般的です。
この理解は間違いではありません。
しかし、この前提だけで設計すると、
- 電話転送が外線扱いになる
- 発信元番号が保持されない
- 電話の引継ぎ時に転送費が発生する
といった状況が発生します。
これは、運用コストとオペレーション負荷を蓄積させます。
ボイスボットの「内線化」という選択肢
「内線化」とは、PBX/CTIなどの既存の電話環境の中にボイスボットを配置する構成を指します。
技術的には、SIP連携などを通じてPBX/CTIと直接接続する構成です。
これにより、
- 通話はPBX/CTI配下で完結
- ボイスボットとオペレータ間の電話転送が内線扱いになる
といった変化が生まれます。
重要なのは、機能が増えるのではなく、通話の流れの構造が変わることです。
外線接続と内線接続の違い(コスト・運用・CX)
コストの違い
ボイスボットとオペレータ間の転送が発生する場合、通常だと外線転送扱いとなり、通話転送料がかかりますが、内線化されている構造だと、この転送コストを削減することができます。
運用の違い
内線接続だと、発信元番号の取得や既存の番号の利用など、運用面での選択肢が広がるため、導入時の設計や運用の負荷が軽減します。
CX/EXの違い
電話業務における、「人とボイスボットの協業」が促進されることで、お客様だけでなく、コールセンターで働く従業員にも好影響を及ぼします。
それぞれの内線化のメリットについて、詳しく説明していきます。
ボイスボットの内線接続がもたらす3つのメリット
内線化すると、ボイスボットとオペレータとの転送が、外線転送ではなく内線転送となります。
具体的にどのような変化が生まれるのかを整理します。
外線転送コストの抑制
外部サービス扱いの場合、ボイスボットからオペレータへ転送する際に外線扱いとなるため、通話転送料がかかります。
通話転送料は、一件あたりは2~6円/分程度と小さく見えても、月間呼量数万件規模では年間数十万円単位の差になります。
コストは、呼量増加とともに比例して拡大します。
内線状態で連携すれば、ボイスボットとオペレータ間の転送が外線扱いにならず、コストを抑えられます。
発信元番号を引き継いだまま転送できる
外線接続では、転送時に発信元番号がオペレータに通知されず、オペレータが番号を聞き直す必要が出てきます。
内線接続では、発信元番号を保持したまま転送できるため、
- 番号聞き直しによる通話時間増加の防止
- 顧客情報の自動照合
- SMS送信の自動化
が可能になります。
既存の電話運用を大きく変えずに導入できる
内線化は、“新しい電話環境を作る”というよりも、既存環境の延長線上に配置する考え方です。
そのため、
- 現在公開中の番号を維持できる
- オペレータの運用フローを大きく変えない
といったメリットがあります。
CX(顧客体験)とEX(従業員体験)の向上
内線化されたボイスボット環境は、お客様対応の引き継ぎをスムーズにし、「人とボイスボットの協業」を促進します。
- 顧客は何度も情報を言い直さなくてよい
- オペレータは前提情報を持った状態で応対できる
単なるコスト削減だけではなく、顧客は会話体験が向上し、オペレータは負荷が軽減され、応対品質と生産性を同時に高める土台になります。
ボイスボットの内線接続が特に効果的な業務シーン
内線接続が特に効果を発揮する業務を紹介します。
発信元電話番号を活用する業務例
- 折り返しが必要な業務
一次受付、修理・配送受付、スナッチ対応 など
- 本人確認プロセスを含む業務
契約内容の確認・更新、EC配送状況の確認 など
- SMS送信業務
通話内容の送信、フォーム入力の依頼、リマインド通知、説明情報としてWebのURLを送信するテクニカルサポート など
番号情報が業務起点になる窓口では、内線接続の効果が顕著に現れ、番号の聞き直しがなくなることで、応対時間短縮と離脱防止につながります。
ボイスボットとオペレータ間の転送が多い業務
- 一次受付後に社員へつなぐ代表電話
- 契約手続き時、オペレータからボイスボットへ転送し約款説明の実施
- トラブル切り分け後に専門部署へ転送するテクニカルサポート
一次受付後に人が対応する業務や、条件分岐でオペレータへ引き継ぐ業務では、転送回数が多くなります。
外線転送が前提だと、転送回数が多い業務ほど、コストは積み上がります。
内線接続の必要性が低い業務
一方で、すべての業務に必要なわけではありません。
下記のような業務においては、内線接続のメリットはあまりありません。
- ボイスボットで完結できる業務
- 既存の電話番号を使用せず、新たな番号を設置する窓口
- 単発キャンペーン
- 小規模なPoC検証
実際の導入事例:CTI×ボイスボットで連携したテクニカルサポート
BPO事業を展開する株式会社Zationにて、24時間365日のテクニカルサポート業務において、BIZTELとAIボイスボット「commubo(コミュボ)」を内線接続した事例をご紹介します。
内線化前の課題
テクニカルサポート業務では複雑な問い合わせが多く、1件あたりの所要時間が平均20分程度かかるため、電話応対中に次のお電話が来てしまい、オペレータが終日折り返し対応に追われてしまう状況が発生していました。
折り返し待ちの顧客が増え、顧客満足度にも影響を懸念していました。
ボイスボットによる応対自動化を開始したものの、ボイスボットで対応できない内容の場合は人が対応する必要があるため、スムーズに連携する構成が求められていましたが、外線転送をしていた当時は下記の課題がありました。
- ボイスボット連携時に通話転送料が発生
- ユーザーの発信元番号がボイスボットとCTI双方に残らず、SMS送信時には別途番号を取得する手間が発生
内線接続後の変化
BIZTELとcommubo間で接続検証が実施され、ミニマムコストで内線接続化を実現しました。
その結果下記コスト面、運用面双方ともに効果が出ています。
- ボイスボットとオペレータ間の転送が内線化
- 外線転送コスト削減(年間20万円超見込み)
- 発信元番号引き継ぎによるSMS送信自動化
これは「AIが優れていた」だけではなく、内線接続という構成の選択が効果を支えた事例です。
詳しくは下記事例をご覧ください。
[事例] 株式会社Zation様|BIZTEL連携とシナリオ改善PDCAを実施し、半年で問合せの半分を自動化。3倍のスピードで目標KPIを達成
そもそも「内線接続」とはどういう仕組みか
イメージは「オペレータの横にボイスボットが座っている」
内線化を直感的に表すなら、「オペレータの横にボイスボットが一席追加される」イメージです。
人のオペレータと同じ内線グループにボイスボットが存在し、必要に応じて、内線として電話が転送され、自然に引き継がれる。
これは“外部にぶら下げる”のではなく、電話基盤の内部に参加させる設計です。
入電からの流れの変化
外線接続では、
着信 → PBX/CTI →(外線転送)→ 外部ボイスボット →(外線転送)→ オペレータ
という流れになります。

一方、内線接続では、
着信 → PBX/CTI →(内線転送)→ボイスボット→(内線転送)→オペレータ
または
着信 → PBX/CTI →(内線転送)→オペレータ→(内線転送)→ボイスボット
という流れになります。

仕組み自体はシンプルですが、運用設計への影響は小さくありません。
ボイスボット導入時に確認すべき「内線化」のポイント
自社利用のCTI/PBXとの接続可否
すべてのボイスボットで内線接続が可能なわけではありません。
利用中のCTI/PBXとの連携可否の確認が必要です。
仕様・機能に制限・影響は発生しないか
CTI/PBXの仕様に依存しますので、事前の確認は必要です。
また、電話の導線や業務フローを再設計するなど運用への影響も考慮する必要があります。
初期設定の工数と費用
接続方法や構成次第では、初期設定の技術対応は一定必要で、設定にも工数と費用がかかります。
また、事前検証済みか、検証費用を負担する必要があるかも確認が必要です。
ベンダ同士の事前検証が済んでいると、開発リソースを軽減し低コスト・短期間で内線化が実現できます。
応対履歴の引き継ぎ
ログやCRM連携の設計も確認しておきたいポイントです。
- ボイスボットの応対履歴はどこで確認できるか
- CRMへリアルタイム連携できるか
- ボイスボット応対履歴と人の応対履歴をどのように整理するか
まとめ:ボイスボットは“機能”だけでなく“環境配置”も考える
ここまで述べてきたように、内線化は製品固有の機能ではなく、設計思想の話です。
ボイスボット選定で語られがちなのは、
- 認識精度
- 生成AI対応
- シナリオ設計自由度
といった“機能”ですが、電話環境をどう接続するかという構成の選択は、実際の運用を大きく左右します。
ボイスボット導入検討時は、自社の電話環境で接続可能かも、確認してみてください。
AIボイスボット「commubo(コミュボ)」は、多くのPBX/CTIベンダとの内線接続に対応しています。
BIZTEL、Genesys Cloud、UNIVERGE Aspire6/SV9700シリーズなど、事前検証済みの構成も多く、初期費用を抑えた導入が可能です。
連携検証済CTI/PBXシステム一覧はこちら commubo|CTI/CRM連携ソリューション
内線接続構成に詳しい技術チームが、品質とスピードの両立を支援します。まずは、自社環境で実現可能かどうか。お気軽にご相談ください。

commuboラボとは?
AIを活用した業務効率化×顧客満足向上を研究するメディアです。
今まで400社以上に電話応対自動化ソリューションを提供してきたソフトフロントが、自動化の考え方や、ボイスボット活用のコツ、お客様の活用事例、AI活用のトレンドなどをご紹介し、企業の生産性向上だけでなく、その先のお客様の顧客体験(CX)向上に役立つ情報を提供していきます。










